"損切り"は基本中の基本!
初心者を卒業するために、絶対に欠かせないのが「損切り」です。
「損切り」ができないと利益を出すことは100%不可能と言い切れるくらい重要なことです。
「損切り(ロスカット)」は、株価が予測と違う方向に動いて含み損を抱えてしまったときに、決済して損失を確定させる行為のことです。
損失の確定というとマイナスのイメージを持たれるかもしれませんが、「損失を確定させること = 負け」ではありません。最終的に利益を出すことが、投資における「勝ち」です。
どんなに株の達人でも1回1回の取引で100%勝つことはできません。 損切りを繰り返し、リスクをコントロールしているからこそ、トータルで利益をとることができるのです。
損切りを躊躇なく確実に実行すること。
まずはこれを徹底して守ってください。
慣れれば難しいことではありません。
損切りができるようになって、はじめて投資家の一歩を踏み出したと言えるほど基本中の基本スキルです。
■ 塩漬けは最大の敵(=損失)
損切りは基本中の基本と言っている私ですが、恥ずかしながら、以前はナンピン買いを推奨していたことがありました。(リニューアル前のサイトには、その痕跡がいたるところにあります・・・)
株価が下がって損失を抱えたときに、追加で購入して持ち株の平均取得価格を下げるやり方がいわゆる「ナンピン買い」です。
これは、「損切り」とは全く逆の行動です。
ナンピンの良し悪しについては、いろいろな意見があると思いますが、少なくとも初心者が手を出して最後まで勝ち切ることは不可能でしょう。 何とか対応できていたとしても、自分の想定や資金量を超える下落があった場合、確実に「塩漬け株」を抱え込むことになります。
そして、これはナンピンに限った話ではありません。
損切りしない場合は、いつか必ず「塩漬け株」が誕生してしまいます。
もちろん、損切りせずに持ち続けていれば、いつか株価が戻ってプラスになる可能性はあります。
ただし、その日がいつくるのかは分かりません。1週間後なのか、半年後なのか、10年後なのか・・・もしかすると一生その日が来ないことだってあり得ます。
長期保有で配当金や株主優待が目的というのであればそれでも構いませんが、一般的に株式投資は、手持ちの資金を使って株を売買し、その差益をとることが目的ですから、資金を動かせない状態というのは完全に負けです。
この塩漬けという最大の敵(リスク)を避ける方法は、損切りしかありません。
逆に言えば、損切りさえ徹底できていれば、塩漬け株を抱えるリスクも、市場から退場するリスクも大きく減らすことができます。
■ 損切りのタイミングとコツ
損切りのコツは、とにかく感情を挟まずに機械的に行うことです。
そのためには、事前に損切りのルールを決めておくことが非常に大切です。
それでも、損切りが大切だと頭では分かっていても、いざそのタイミングが来るとあれこれ理由をつけて実行できないのが人の性(さが)ですよね。そして、その結果が損失の拡大・・・多くの方が心当たりあるはずです。
そうならないためには、ルールを明確にしておき、損切りポイントを一度決めたら何があっても絶対に守るようにしましょう。
もちろん、ルール自体の見直しは問題ありません。トータルでより利益が上がる損切りポイントを探る作業は必要なことです。ただし、損切りしたくないから都合よくルールを変えるというのでは意味がありません。
損切りのタイミングは投資スタイルや、取れるリスクの許容範囲など投資家によって違います。それぞれ自分に合ったルールを決めていただければいいのですが、目安として代表的なものを紹介します。
① 損失額を基準に損切りする
一番分かりやすく初心者でもルール化しやすい方法です。この損失額というのは、購入価格の5%のように割合でも構いませんし、損失額2万円のように金額で設定しても構いません。ただし、銘柄によって株価は異なりますから、一般的には割合で設定した方が良いと思います。
② 予測が外れた時点で損切りする
当初の読みが外れた時点で、さっさと手仕舞うという方法です。株取引はギャンブルではなく、今後の値動きを予測して取り組みます。上昇トレンドを見込んで買ったにもかかわらず、トレンドが崩れて下落したような場合は、そもそも自分の予測が外れたわけですから、一度リセットして仕切り直す方が賢明です。
損切りポイントは、チャートをもとに、トレンドラインや支持線・抵抗線などのトレンドの転換が確認できるポイント付近に設定します。
エントリーの理由を明確にしてトレードの敗因を分析することは、投資スキルを向上させる上で非常に大切です。予測と結果に関係性を持たせることで、今後の振り返りにも役立つため、できれば②を基本にしたルールをオススメします。
■ 逆指値注文で損切りを確実に
どうしても損切りが苦手だという人は、逆指値注文を利用しましょう。
逆指値注文とは、例えば「○○円以下になったら成行で売却する」というように、一定の条件を満たした場合に発動させる注文方法です。まさに、損切りのための注文方法ですね。
この機能を使うことで、損切りを100%確実に実行できるようになります。
また、逆指値注文は、日中仕事をされている兼業投資家にとっても、なくてはならない機能といえます。
株式市場では常に何が起こるか分かりません。予測しないような事態が発生して株価が急落した場合でも、損失を一定額で抑えることができます。いわゆる万が一の保険としても使えるわけです。
一方で、逆指値注文のデメリットといえるのが、急激な値動きがあった場合に意図せずに発動してしまうことがあることです。一瞬だけ急落してすぐに値を戻したような場合、それがダマシだったとしても設定した株価になれば注文は発出されてしまいます。
こうした点には注意が必要ですが、それを補って余るくらい逆指値は利用価値が高い機能だと言えます。
その証拠に、かつてはごく限られた証券会社しか取り扱いがなかった逆指値注文ですが、今ではほぼ全てのネット証券で対応しています。
■ 損切り貧乏で全然OK
最後に、損切りばかりして利益が出せない人のことを「損切り貧乏」と言ったりしますよね。
皆さんの中にも、心当たりのある方がいらっしゃると思いますが、私は損切り貧乏は全然構わないと思います。損切り貧乏を続けている限り、大きな失敗はありませんから、市場から一発退場となる可能性は低いです。
損切りが続くということは、銘柄選びに問題があるとかエントリーのタイミングが悪いとか、何か原因や傾向があるはず。あとは、その原因を分析して改善していけば、いずれ損失分を上回る利益を出せるようになっていきます。
市場から退場しなければ、チャンスは何度でもやってきます。
投資の世界で生き残るために、絶対に必要なスキルが損切りです。
確実にマスターして、脱初心者の一歩を踏み出しましょう!